植物の乳酸菌 ~その(1)~
植物を原料とした保存食
さわやかな初夏の季節。特に楓の葉は軟らかく重なって、
その間を通ってくる風は冷たくて蜜のような香気を帯びています。
今の季節、鉢に盛られた漬物は一入新鮮な食欲をそそります。
では、これから漬物にも関係の深い植物系乳酸菌のお話をしましょう。
私達の住む東アジア・東南アジアは、中高温多湿地帯で果実、
野菜等の栽培に適し、その為、米、雑穀類、野菜等の植物質を
主食・副食とする食文化が発達しました。
そこには、野菜類や穀物類を原料とした保存食として、
多種類の漬物や醗酵食品が見出されます。
しかし、これらの食品は、乳の醗酵類と違い持ち運びが難しく、
日持ちも悪いのでまだあまり一般化していません。
ともかく、そこは各種の植物系乳酸菌の共生の場です。
漬物を作る為に植物の葉、茎、根などをそのまま漬込む場合には、
予め熱を通したり、機械的に潰したり、食塩の濃い液に浸したり
します(昔は10%くらい、現在は5%前後)。
これは、細胞の中にある旨味成分や栄養成分を周りの漬汁に出して、
そこにいる乳酸菌などの菌達が利用できるようにする為です。
細胞の4割くらいが壊された時が”お新香”で、
9割くらい壊されると”良く漬かった、おいしいね”となるわけです。
もっともこれは人それぞれの好みですが。
漬物など保存を目的とした醗酵では、乳酸菌は醗酵物中に乳酸を蓄積
することで有害微生物の生育を抑制し、調味料(醤油や味噌)、
アルコール飲料(酒、ワイン)、パン生地などに現れる乳酸菌は
食品の味覚や風味を整えるバイプレーヤーの役割を果たしています。
今日はここまで、次回には具体的な例でお話します。
会報誌より抜粋
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